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食料自給率と日本

食料自給率と日本の嘘

時代遅れの指標を用いて低いように見せかけてる

日本の食糧自給率は、先進国の中でも低い低いと叫ばれており、今後、TPPの導入により安価な輸入食品が増えることで、更に低くなるのではと懸念されている。

この食料自給率が、あえて低くなっているとしたら、驚くべきことではないだろうか。

食料自給率は、国内で消費された食料品のうち、国内で生産されたものの割合である。

食料自給率には、国内の食糧生産量を消費量で割った重量ベースの品目別自給率と総合食料自給率の2つがある。

ここで問題となるのは後者である。

総合食料自給率の算出方法には2通りある。

まず1つは、カロリーベースと呼ばれる方法で、国民1人が1日に供給される食料のカロリーについて、国産のカロリーを総カロリーで割ったものがその値となる。

もう1つは、生産額ベースで、食料の国内生産額を国内の消費額で割ったものである。

では、農林水産省の発表した各国の食料自給率のカロリーベースと生産額ベースを比較したグラフを参考にして考えてみる。

これを見ると、日本のカロリーベースの自給率は39%と先進国の中でも最低である。

しかし、生産額ベースでは70%と、著しく低いわけではない。

例えば生産額ベースの数字を用いて、「食料自給率は70%」と聞けば相当印象が変わってくるはずだ。

そもそもカロリーベースという指標は、国際的には既に過去の指標であり、現在は生産額ベースが主流である。

先ほどの農林水産省のグラフでは、各国のカロリーベースの自給率が掲載されているが、これは各国政府が発表したものではなく、FAO(国際連合食糧農業機関)のフードバランスシート(食糧需給表)などをもとに農林水産省が試算した値なのである。

問題だらけの指標を使い続ける農林水産省

そもそもカロリーベースは、問題の多い算出方法とされている。

例えば、カロリーベースでは、外国産飼料によって育てられた国産家畜は、国産の食料にカウントされていない。

日本で考えてみると、平成18年度の国産豚のカロリーベース自給率はわずか5%であるが、品目別自給率、つまり重要ベースでは52%となっている。

外国産飼料を使って育てられた国産豚をカウントしないため、全ての国産豚のうち、わずか1割しかカウントされていない計算となってしまう。

「輸入飼料が途絶えた場合に生産できなくなってしまうものは国産とは認めない」というのが農林水産省の言い分であるが、果たしてそれが正しいのであろうか。

カロリーベースの問題点はまだある。

カロリーベースは「国民1人が1日健康に動けるだけのエネルギー中にどれだけ国産の食料品が含まれるか」を調べるために算出されているが、ここで用いられる供給カロリーは、実際に我々が摂取しているカロリーとは異なっている。

農林水産省の発表によれば、供給カロリーに用いられる全食料の供給量の中には破棄される食品も含まれており、破棄される食料品の量は年間約2000万トンにも及び、全供給量の25%にもなる。

分母が多くなればそれだけ国産食料の比率が下がるのは当然であり、破棄される食料を含めるため供給量で計算すると先述の目的とかけ離れてしまう。

更に言えば、この算出方法では全国に200万戸以上の自給農家の存在が無視されている。

自給農家とは、農産物を販売せず、自分の家や知り合いへのおすそ分けで消費している農家のことで、これらの農家の生み出す大量の農産物はカウントされていないこととなる。

以上のようにカロリーベースという基準は全く当てにならないものなのである。

しかしそうなると、農林水産省はなぜこの基準にいつまでもこだわっているのであろうか。

一説には、食料自給率が低いと思わせることで、自給率向上のためと銘打った関連予算や補助金を確保しやすくするためであると言われている。

だが、先述のように生産額ベースでは7割近い数字を誇る日本の食料自給率は、各国に決してひけを取らない。

カロリーベースの結果を持ち出して食料自給率を上げる必要があるなどというのは、まやかしに過ぎないのである。

TPPは農水産業界の追い風となる

日本の農水産業を壊滅させると噂されるTPPだが、業界に吹く追い風と見る向きもある。

例えば、日本のスイカやイチゴなどの果物は海外で高級品扱いされている。

ブランド和牛や養殖の新技術など畜産や水産の分野でも海外に売り込めるものがある。

関税撤廃で、これらの輸出量が増加すればTPPが業界の救世主となるかもしれない。