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日本刀の名品

日本刀の名品の嘘

名品はすぐに折れる

日本刀の性能を言い表す時、必ず「折れず、曲がらず」という表現がされる。

しかし、これは肥後の同田貫に代表される戦国時代の刀や、江戸から現代に至るまでのごくわずかな刀である。

名品といわれる刀は簡単に折れてしまうし、なまくらな刀は簡単に曲がってしまう。

日本刀の強度を語る時、決まって引き合いに出されるのが、江戸時代末期の嘉永6年(1853年)に松代藩で行われた試刀会である。

「松代藩荒試し」の呼称で知られるこの試刀会では、藩の武器庫に収蔵されていた日本刀の強靭さと切れ味が試された。

同藩武具奉行・金児忠兵衛が記した「刀剣切味並折口試之次第」によれば、一見して名品と分かる刀は、ことごとく折れるか、曲がってしまったという。

名刀は、美術品や装具用としての価値はあっても、武器としての機能は皆無であったのである。

この試刀会において恐るべき強度を見せたのは、山浦真雄なる刀鍛冶が鍛えた二尺一寸五分(約80cm)荒錵出来の刀であった。

干しワラ、青竹、鉄板、鹿の角などを両断しても折れる気配がない。ついに鉄枝で刀を横から叩いて折ろうとし、20回近く強打したことで、ようやく折れたと伝わっている。

この強靭さに松代藩士たちは「恐ろしい刀もあったものだ」と鳥肌が立ったという。

ただこのような強度を誇る刀は名品の中でもまれだった。